2017年9月14日木曜日

完結編。 白山ジオトレイル7日目

穏やかな朝だった。最長ステージを越えて最終日を迎え、完走を視界に捉えた安堵感が選手の間に見られる。スタッフも最終日を名残惜しむように明るく楽しく準備しているよう
に見受けられた。


最終日のコースは前半こそサイクリングロードを7kmほど進むため楽に見えるが、その途中には崖下を望める明神壁があったり、その後にはトレイルを6kmほど進む、全体で約20kmのコースである。
1週間持ち運んできた食料だけでの生活もおさらばだ、ということを思いつつ最後の朝食をとる。それぞれの食べ物は美味しいのだが、7日間似たようなものが続くのはやはり少し辛くなった。
スタート時から比べるととても小さくなったザックをどうにか薄く、体の重心に近くして走りやすくなるようにパッキングし、スタートへの準備を整える。朝から濡れたウェアを着る生活も今日で最後である。清潔な生活を待ち遠しく思うとともに、いかにこの1週間単純で純粋な生活を送ってきたんだろうという感慨を覚えた。スマホはあるもののあまり見ず、現実から離れてレースのみに集中した夏休みであった。
スタートしてからは例によって1日1日ベストを尽くしている若岡さんが全力で飛び出し、キロ5分くらいじゃないかというスピード感でどんどん離れていった。自分はというと、今日は選手と一緒に出走したコースディレクター相羽さんの背中を見ながら選手の中では2番手で走る。相羽さんが何やら無線で会話しながら走っているのは大変だろうと思いながら追いかけていた。
明神壁の入り口で水本さんに、頂上でハチに刺された人が出たためCPがその下の分岐に変更されていることを知らされる。それはそれはと登っていくと、痛がりながら下りていくカメラマン田上さんとすれ違った。CPから折り返して全選手とすれ違い、下ではハチ刺されの治療をしているであろう車を横目に見つつ、サイクリングロードへ。退会として医療スタッフが万全なので安心してレースをできているのである。


平らなサイクリングロード途中のCP2およびその手前では満美さんの熱烈誘導応援、スタッフの応援を受け、トレイルへ突入。急な登りが何カ所かあり、昨日終盤と同じく巡視路のため鉄塔下の通過も続くが、脚に力を入れて登っていくと長くともそこまで辛いものではなかった。
トレイル最終盤はゆるやかな下りトレイルが続き、白山の山を離れるのを惜しむに相応しい道だった。下りてからはCP3で神社に参拝し、CP4で最後の木札をもらい、フィニッシュへ。最後に迷わないように、という配慮で道の分岐にはことごとく人が立っていたが、最後まで地図を見ながら走り続けた自分にとっては不要だった。もっと地図読み要素が増えれば自分が優勝できたかもしれない、などと考えるが、誘導スタッフに応援されるのも悪くないし、迷う人は本当にどこかへ行ってしまうので大会としては選手の満足度を高めるためにも最低限の誘導は必須だろう。
フィニッシュまで残り1kmもないCP4で冷たい水を柄杓一杯頭からかぶってリフレッシュして、ついにたどり着いた7日間のフィニッシュ。自分は感情を味わうためにゆっくりと歩いてフィニッシュした。



白山比め神社の駐車場で久しぶりに対面した、初日に預けたスーツケース。風呂へ向かうバスの出発まで時間があるので休憩もそこそこに、1kmほど離れたスーパーまで歩いて往復。往路では我慢できずに自販機で冷たいミルクティー缶を飲み干す。注目の、レース直後にスーパーで買ったものは、飲むヨーグルト(密度のある冷たい飲み物)、魚肉ソーセージ(味気のあって食べやすいタンパク質)、プリン2個(好物カスタードクリーム)、リンゴジュース(身体が求めるフルーツ感)であった。ゴール地点に戻るまで我慢できるわけはなく、魚肉ソーセージ2本と飲むヨーグルトは歩きながら消費。CP4手前で満美さんが選手を応援していたので横で話しつつ食べつつ応援する。皆疲れているが良い表情である。


こうして、自分の初めての白山ジオトレイルは幕を閉じた。
総括するのは何となく憚られるので差し控えるが、選手とスタッフが共に走る、温かいイベントであった。この場合の走るというのは、同じ目標に向かって支え合って進む、という意味合いに近い。
レースではあるものの、タイムを競うのは主眼ではなく、メインテーマは選手が白山周辺の山々の周遊にチャレンジする一週間の生活を皆で楽しむことだと感じた。
ジオファミリーに加わった一員として、来年白山ジオトレイルというイベントをファミリーと一緒に楽しむのであれば、スタッフとして関わる意向である。



長々とお読みいただき、ありがとうございました。

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