このアドベントカレンダー記事ではこの機会に、今年は過去最多の約1,300人の参加者を集めたこのイベントをオリエンテーリングの視点から俯瞰してみたいと思います。オリエンテーリングに足りないような良いところは取り入れて活用しよう、という感じで。
OMM JAPANとは
第1回の開催以降トレラン系雑誌でもよく取り上げられ、毎年10名以上のオリエンティアも参加しているのでイベント内容を知っている人も多いでしょうが、簡単に言うと、1/25,000程度の地形図のような地図にオリエンテーリングのようにコントロールが書いてあり、ポイントOやスコアOのようにタイムや点数を2日間合計で競い、その間の夜は指定された場所で野営し、その間に必要な荷物は全て携帯するというイベントです。計測にはペア1名の手首にバンドで取り付けられたSIを用います。これ以上の説明は公式サイトやインターネット上にたくさんある参加レポートなどを見てください。
OMMとオリエンテーリングの比較
1.ペアと個人
2.年1回と月1回
3.2日間と1時間
オリエンテーリングのレースを1本走った後、自由に山に戻って復習できるような自由度があると満足度が高くなることも多いと思います。オリエンテーリング特有の公平性、厳格さを求めると許容しにくいかもしれませんが。。
4.縮尺と植生、地図
オリエンテーリングの地図が独自のものであることは皆様ご存知の通りです。OMMは、数値地図をベースに私有地の着色など調整して作製されていますが、基本的には一般的な地形図に似ています。初心者が初めてオリエンテーリング地図を持つとその正確な表現に驚くことがほとんどで、逆にオリエンティアが地形図でナビゲーションをするとその曖昧さに悩む人が多いです。どちらも縮尺に応じた見やすさを追求して総描された結果であり、両者を特徴づけていると思います。
5.楽しみ方の多様性
OMMではタイムや得点以外にも長時間のレースのマネジメントがあったり、他の参加者とのふれあいがあったり(長時間レースなので皆余裕を持って走っているため可能)して、また常にペアとの行動なので気軽に会話もできます。さらに、1日目と2日目の間の野営の時間(さらに言えば宴会)が楽しみで参加している人もかなりいます。
初心者が楽しめるか、というのはどんなアクティビティでも裾野の拡大には重要な要素でしょう。始めるのに機材が必要だったり、準備が必要だったりすると気軽に参加することは難しいです。OMMはそのレースの特性から必携装備品が多く定められており、参加が難しいと思うかもしれません。ただ、どれも山で快適に過ごすのであれば当たり前に必要なものばかりであり、広く山を楽しむためと捉えれば揃えるのは難しくないでしょう。OMMの開催地は毎年異なるため、その場所の気候やフィールド特性に応じて装備を調整するのも参加者の楽しみの1つになっています。
タイムや得点を追わなくてもその時間と空間を楽しめる空気がある、というのはオリエンテーリングにはない大きな魅力ですし、実際、順位を追い求めているチームは限られた人だと思っています。完走目標のチームも多いです。気質の違いがありますね。
オリエンテーリング普及の視点
頂点にある競技の普及のためにはその裾野を広げるのが必要なのは当然であり、オリエンテーリングの中だけで人を集めようとしても難しいのは事実です。オリエンテーリングの愛好者を増やすためには隣接領域から徐々に興味を持つ人を増やしていくのが妥当であり、隣接領域の普及のために労力を使うのは一定の妥当性があると判断して良いでしょう。オリエンテーリングの隣接アクティビティの1つがOMMであり、オリエンティアが良い順位を獲得してプレゼンスを高めることは、オリエンテーリングへの興味関心を広めることに役立ちます。そこからいかにオリエンテーリングイベントへの参加につなげるかが重要ですね。
認知 → 関心 → 検索・調査 → 比較検討 → 購入・参加 → 情報共有
というプロセスを辿るらしく、この全てのプロセスにきちんとアプローチすることが大事です。
認知 :オリエンテーリングとは地図を持って走る競技だということを情報に触れてもらう
関心 :オリエンテーリングを(スポーツ・イベントとして)楽しそうと思ってもらう
検索・調査:調査すれば見つかるだけの情報を提供する
比較検討 :参加したいと思うだけの(外面的な)魅力をアピールする
購入・参加:エントリー、参加しやすい環境を作る
情報共有 :参加した人が周りの人に広めたくなるような体験をさせてあげる
オリエンテーリングが特性として弱いのは比較検討から参加に至るまでの、外面的な魅力をアピールする部分ですね。一般の人には魅力が伝わりづらい。この観点では、@hamauzuさんが最近広めているようなよくできたオリエンテーリング動画を一般向けにも広く活用するのが近道だと思います。
OMMはブランドイメージ作りも大事にしていますし(例:Facebookページ)、参加した人が感想をSNSで広く共有することが自然発生的に行われているので上手く行っていると感じています。
OMMで上位に入るには
関連イベント
TEAM阿闍梨では、地図読みに興味を持った人のためのオリエンテーリングイベントを開いています。2016年1月に開催されてエリートクラスの完走者が2名(小泉さん・村越さん)しかおらず伝説になった(と勝手に思っている)OMO(奥武蔵マウンテンオリエンテーリング)というイベント。2018年3月にも第3回の開催を予定しています。これまで2回開催していて第2回もエリートクラスの完走は4名しかいないのですが、レギュラークラス含めてOMMのようなナビゲーションの機会を提供するイベントとして人気になっています。また、東大OLK大会や茶の里いるま大会などではOMMを意識したクラスが昨年から?設けられていますね。同様の参加者層で人気だと思います。オリエンテーリング大会でただコントロール位置が易しめで距離が長めのクラスを作るだけだと広報力、アピール力に欠けるのでいかにオリエンテーリングに不慣れな参加者が楽しく過ごせると思えるような場を作るかがポイントでしょうかね。
まとめ
まとめるほどのことはないですが、OMM JAPANにはオリエンテーリングにない魅力があるからこそ多くの参加者を集めていることは確かだと思います。オリエンテーリングと同じナビゲーションスキルを用いたイベントとして排他的に思う必要は全くなく、オリエンテーリングをする人はロゲイニングイベントにも地図好きの会合にも何度か参加してみてオリエンテーリングの楽しさを見つめ直してみるのはいかがでしょうか?



































